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東野圭吾『白銀ジャック』※ネタバレ無し あらすじ・見どころ解説

『白銀ジャック』は2010年に出版、2014年にはテレビドラマ化されたサスペンス小説で、東野圭吾さんの雪山シリーズの第1作品目になります。

スキー産業の斜陽化やゲレンデ事故といった要素を含めて上手く練られ、違和感のない構成ですがオチの部分はインパクト抜群です。

スキーやスノーボードといったウィンタースポーツに関する作品ですが、専門知識のない方でも全く問題なく読むことができます。

この記事では
『白銀ジャック』の重要部分のネタバレは避け、あらすじを解説していきます。

あらすじ

ゲレンデの下に爆弾が埋まっている―――
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。年の瀬のスキー場に脅迫文が届いた。警察には通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金強奪。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。

東野圭吾『白銀ジャック』より引用

主な登場人物

倉田玲司:新月高原スキー場、索道技術管理者。40歳で未婚。

根津 昇平 :新月高原スキー場のパトロール隊員。趣味でスノーボードも行う。

藤崎 絵留:新月高原スキー場のパトロール隊員。スキー技術はプロ並み。

瀬利 千晶:スノーボーダー。かなりの腕前で大会に出場するために新月高原スキー場に籠り練習をする。

桐林 祐介:新月高原スキー場の新人パトロール隊員。

入江 義之:一年前の新月高原スキー場での事故で妻を亡くす。達樹は息子。

入江 達樹:一年前の新月高原スキー場での事故で母を亡くす。それ以降、引きこもりがちになる。

筧 純一郎:新月高原ホテルアンドリゾートの親会社である、広世観光株式会社取締役。

増淵 康英:北月町の町長。

見どころ

犯人からの脅迫状

年の瀬を迎えた新月高原スキー場に脅迫状が届きます。

内容は以下に要約します。

・森林を伐採するなど地球温暖化に加担した慰謝料を請求する。
・三日以内に現金三千万円を用意すること。
・現金を用意できなければゲレンデに埋めた爆発物を爆破するかもしれない

新月高原スキー場は広大で様々なコースが用意してあります。しかし、犯人はどこに爆発物を埋めたのか情報を開示していませんでした。

圧雪車の作業程度では爆破する心配はないものの、無理に掘り起こそうとすれば爆発するかもしれない… 

そこで、索道技術管理者の倉田玲司は社長である筧純一郎に警察に届け出るように懇願しますが経営面の理由から却下されます。

今やスキー場経営というのは斜陽産業であり、さらに客足が遠のくことを筧純一郎は恐れたのです。そもそも爆発物が埋まっていれば営業どころではありません。

また、新月高原スキー場では来月、スノーボードクロスの大会が控えていました。この大会は国内外より選手を招待しており、何が何でも行わなければなりません。

結局、経営陣は三千万円を用意し犯人との取引に応じます。

この三千万円を受け取った犯人は爆発物が埋まっていないコースをいくつか開示します。しかし、それは新月高原スキー場のごく一部でした。

犯人からの脅迫状には、さらなる情報を求める場合には再び三千万円を用意するよう記されていました。

謎多き犯人の目的とは。そして経営陣はこのまま警察に届け出ず、犯人の言いなりになり続けるのでしょうか。

血塗られたゲレンデ

新月高原スキー場、北月エリアでは一年前に悲惨な事故が起こりました。

事故のあった日、入江義之は妻の香澄と息子の達樹の3人で北月エリアを滑っていました。

入江一家は義之が先頭を走り、香澄と達樹がそれに続く形。義之はときおり立ち止まり、二人を待っていました。

しかし、なかなかコースから降りてこないた二人。そこで様子を見いったところ、息子の傍らで妻の香澄が倒れているのを発見したのです。

義之は自体の深刻さに気付きます。

妻の香澄の首から大量の血液が流れだしていたからです。

達樹は状況を伝えます。

「急にどこからか人が出てきて、おかあさんにぶつかった」

東野圭吾『白銀ジャック』より引用

義之は見ていました。颯爽と滑り降りる二人組のスノーボーダーを…

その後、香澄は病院に搬送されますが
大量出血で命を落とします。

命を奪った犯人は逃走し、一年経った現在も捕まっていません。

犯人が正規ルートを使わず、ショートカットをしたが故に起きた悲惨な事件でした。

この事故はスキー場側に責任があるとはいえません。しかし、入江義之が
”スキー場を恨んでいる”という可能性も十分にあります。

果たして、新月高原スキー場に届いた脅迫状は入江義之による復讐なのでしょうか?

切り離された北月エリア

一年前の事故により、北月エリアは封鎖されることになりました。

その閉鎖によって悲鳴をあげることになったのが北月町でした。

北月町というのは北月エリアを下った所にある小さな町です。

交通の便が悪く、過疎化が進行。主な産業である観光も北月エリアの封鎖により沈黙していました。

この危機的状況から脱すべく、北月町町長の増渕や副町長は北月エリアの開放を懇願します。

しかし、新月高原スキー場の上層部は首を縦には振りません。

というのも元々、北月エリアは利用者が少ない割に維持費がかさむため、採算が合わない”お荷物”的な扱いだったのです。

このような経緯があるため一年前の事故を理由に、合法的に閉鎖されたのです。

北月エリアはこのまま封鎖され続け、北月町は衰退の一途をたどってしまうのでしょうか。

感想

スキー産業の斜陽化、ゲレンデの事故、身代金強奪など特出した要素がオチの部分で違和感なく回収されどんでん返しをくらいました…東野圭吾さんです…

ウィンタースポーツ特有の舞台設定やトリックが使用されていてこれまでにない新鮮味味わうことができました。

終盤の手に汗握る展開や一連の事件の真相に関しては、まさにサスペンスといった印象を受けます。

スキーやスノーボードが好きな方にはたまらない作品ではないでしょうか。

ABOUT ME
テイケチ
◇25歳/男 ◇医療職/田舎で一人暮らし ◇小説紹介してます