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東野圭吾『殺人の門』あらすじ・見どころ解説 ※ネタバレ無し

『殺人の門』は2006年に出版された一大叙事詩で、ある人物に向けた「殺意」とともに歩んだ、主人公の一生が描かれています。

自分の人生が他人に「コントロール」されていたら……皆さんはどう思いますか?

この記事では
重要部分のネタバレは避けながら『殺人の門』のあらすじ・見どころを解説していきます。

あらすじ

田島和幸は歯科医の息子として生まれ裕福な生活を送っていました。しかし寝たきりの祖母の死を境に生活が暗転していきます。

両親の離婚、父親の借金、転校先でのいじめなど悲惨な境遇が彼を待ち受けていました。そんな時に和幸はひょんなことから友人の倉持修に騙されていたことを知り殺意を覚えます。しかしあと一歩の所で躊躇してしまい実行には移せませんでした。

それからというもの和幸には不幸が続きます。一旦平穏を取り戻し幸せを掴もうとすると倉持が現れるのです。

「これは単なる偶然か?」和幸は自身の不幸の影に倉持の存在を確信します。果たして田島和幸は「殺人の門」を潜り倉持を殺すことができたのか…

見どころ

叙事詩

叙事詩ということで田島和幸の成長とともに物語が進んでいきます。

彼の成長につれ生活の転落していく様が残酷に描かれていていたたまれなくなりました。

そんな悲惨な生活の要所要所で現れるのが倉持修です。悪い意味で和幸の人生の転機となる出来事が起こる時には倉持の存在がありました。

倉持の行動は月日が経つ事にエスカレートしていく様が見て取れるのも叙事詩ならではかなと思います。

和幸の人生をコントロールするかのように出現してくる倉持に嫌悪感を抱きながらも次の展開が気になり見事に引き込まれていってしまいました。

『金販売』のセールスマン時代

和幸は某メーカーに就職していましたがある事情から退職してしまいます。

途方に暮れている中、倉持に東西商事という会社で
『金販売』のセールスマンとして働かないかと持ち掛けれます。これまでにも倉持に騙されたことがある和幸は当然疑いの目を向けますがここでも倉持に言いくるめられ働き出します。

実際に働いていく中で和幸が目にしたものは契約を取るために老人を騙す倉持の姿でした。しかし倉持の悪びれた様子は全く無く会社全体でも詐欺行為が横行していました。

そこで和幸は東西商事という会社の本質と倉持の卑劣さに気づき辞職します。

これ以降、和幸は「後ろ指を刺されない生き方」を目指し生きていくわけです。

しかし東西商事で働き”詐欺の片棒”を担いでいたことは彼の人生において汚点になってしまったのではないかと思います。

このセールスマン時代の倉持には特に胸糞悪い印象を受けます。どんなに温厚な人間でも倉持修を嫌いになること間違いなしです。笑

佐倉との再会

和幸が初めて倉持に騙されたのは小学5年生の時でした。

「五目並べで勝てば金が貰える」と倉持にそそのかされ住宅街のある一室に出向きました。

その一室には30代半ばの男が住んでいました。

しかし、その男と倉持がグルになり和幸から金をむしり取っていきました。「騙されていたんだ」と和幸が気づくのはまだ先の事です。

さて、前置きが長くなりましたがその五目並べの男ことが佐倉なんです。

物語の終盤に和幸は佐倉と再会し”倉持とある少年”の話を聞くことになります。

そこで和幸は少年時代から現在にかけての転落の原因を確信することになります。

和幸は倉持を殺したのか、殺せなかったのか。

ラストページまで見逃せません。

まとめ

一人の人物により人生が狂うというのは同著者の『幻夜』に酷似している印象を受けました。

しかし、幻夜では「身を捧げていた」といった印象でしたがこの作品では「裏でコントロールされていた」という印象が強く、余計酷だと感じました。

倉持の卑劣さ・狡猾さに嫌悪感を抱き、毎度騙される和幸のダメダメっぷりに苛々する展開が続きますがそれほど感情を動かされていたようです。

皆さんもこの作品を読んで「人の殺意」の一部を除いてみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
テイケチ
◇25歳/男 ◇医療職/田舎で一人暮らし ◇小説紹介してます